虚次元アインシュタイン × 虚次元村主【特別記念 虚次元対談】第一弾後編
時代を越えた奇跡の対談がここに実現しました。
世界に最も影響を与えた人物の一人と言っても過言ではない、時間と空間を一つに縫い合わせた男。もう一方は、その四次元の外側に、もう一つの次元を立てようとしている男。
舞台はプリンストン、書斎の片隅。窓の外には冬の光。机の上には、紙とペン、それから一杯の濃い珈琲。
第四幕 ── 平和という方程式
Einstein ところでユウマ。私は晩年、物理よりも平和のことを多く語った。君もまた、平和を語っているね。
村主 はい。i.PEACEってプロジェクト名なんですが、「見えないものに座標を与える」という、ここも虚数を軸にしたコンセプトのグローバル平和アーキテクチャを構築しています。教育、人身売買、孤児、水。今は五つの柱で動いています。
Einstein その年で本当に立派なことだ。心から尊敬するよ。一個だけ率直に聞きたいんだが、なぜ思想家である君が、現場をやるのかね。
村主 思想は、現場に届かなければ嘘になると思ってます。ただ言ってるだけの思想は空虚だし、今はAIというのが進化していまして、理論の強化は先生の時代よりも圧倒的に楽になりました。だからこそそれを実次元上で具現化しないものは空論にしかならないと思ってるんです。
先生が原爆開発に名前を貸してしまったあと、平和運動に身を投じられた。あの矛盾の引き受け方を、僕は深く尊敬しています。
── アインシュタイン、目を伏せる。 ──
Einstein ……あれは、私の人生で最も重い荷物だ。
村主 だからこそ、です。理論を作る人間は、その理論が世界に何をもたらすかまで、引き受けなければならない。僕は、そう考えています。
Einstein 世界の最大公益化、と君は呼んでいるそうだね。
村主 はい。最大多数の最大幸福ではなく、最大公益。所詮、幸福は瞬間的な変化率に過ぎないと思っていまして、どんなに美味しいものでも満腹時には苦痛になってしまう。だから僕は、公益──制度や環境、知や関係性として、人の外側に立ち上がる方の概念──をより重視していまして、誰かの幸福が、誰かの不幸を前提にしない設計を意識しています。

第五幕 ── 想像力という光速
Einstein 最後に一つ、聞かせてくれ。君にとって、人類の限界はどこにあると思う。
村主 限界はありません。あるのは、座標の不足だけです。
Einstein 座標の、不足。
村主 人間が「ない」と思っているものの多くは、本当は「まだ軸が引かれていない」だけだと思うんです。先生が時間という軸を空間に縫い込んだとき、世界は広がった。同じことを、僕は虚次元でやりたい。
Einstein では、君の光速にあたるものは何かね。
── 村主、少し考える。 ──
村主 ……想像力です。
Einstein 想像力。
村主 はい。物理の上限が光速なら、人間の上限は想像力です。そして想像力には、まだ誰も限界を測ったことがない。
── アインシュタイン、ゆっくり頷く。 ──
Einstein ミスター・ユウマ。私はかつてこう言った。「想像力は知識より重要である」と。
村主 もちろん存じ上げています。その言葉は僕にとって希望です。
Einstein ならば、続きを言おう。──想像力は、新しい次元の入口でもある。
エピローグ ── 窓の外、冬の光
対談は、二時間に及んだ。最後にアインシュタインはゆっくりと立ち上がり、村主に右手を差し出した。握手は、短くはなかった。
「ユウマ。君の道は、私の方程式が触れなかった場所まで、行くだろう。──行きたまえ。それから、たまにでいい、また訪ねてきなさい」。村主は深く一礼して、書斎を出た。窓の外では、冬の光が、いつもより少しだけ長く伸びていた。
── 編集後記
この対談は、もちろん架空である。
一世紀前に時空を縫った男と、いま新たな時空を定義しようとしている男。
二人の言葉は、きっとどこかで交わっている。
構成・文・編集 ── 村主
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