現代奴隷5,000万人――子どもを”商品”にする人身売買構造に、私たちはどう抗うのか
FinLi ―― プロジェクトから考える
今、この瞬間も、誰かが「商品」にされている
世界のどこかで、今この瞬間も、誰かが「商品」にされている。
人身売買。この言葉を聞いて、多くの人は遠い国の、遠い時代の話だと感じるかもしれない。
しかし現実は違う。国際労働機関(ILO)の推計では、今この瞬間、世界で約5,000万人が現代奴隷の状態にある。強制労働、強制結婚、性的搾取。その被害者の多くは女性と子どもだ。そしてこの数字は、発見された件数ではなく推計だ。実態は、さらに深い闇の中にある。
これは「かわいそう」で片づく話ではない。構造の話だ。そして、その構造を解体するために何が必要かという、設計の話だ。

(画像はイメージです)
「救出」という美談の限界
点では終わらせられない、面の問題
FinLiというプロジェクトを始める前、僕は人身取引の現場や救出現場をいくつも見てきた。
被害者を発見し、保護し、「救い出す」。人知れず極秘ミッションとして実施されることが多いが、中にはその瞬間にカメラが回り、メディアが報じ、支援団体の実績として記録されることもある。救出があまりに劇的で象徴的なこともあり、その瞬間に光が当たることが多いのだが、案外それ以降は忘れられがちなのだが、問題はまだまだ終わらない。
保護された後、被害者はどこに行くのか。元の村に戻れば、そこにあるのは貧困と偏見だ。職業訓練を受けても、受け入れてくれる社会がなければ意味がない。心理的なケアが必要でも、専門家がいない。いたとしても、そう簡単に心の傷は回復しない。痛みからの逃避を目的に薬物に手を出し、結局、多くの被害者が再び搾取のサイクルに引き戻される。
救出は「点」だ。しかし救済以降の活動は「線」──いや、「面」の問題だ。入口から出口まで、そしてその先の人生までを設計しなければ、本当の意味でこの悲劇が解決されたとは言えない。
なぜ「見えない」のか
社会に溶け込む、加害の構造
人身取引の最大の特徴は、見えにくいことだ。
物理的な鎖はもう使われていない。代わりにあるのは、借金、脅迫、パスポートの没収、言語の壁、法的地位の不安定さ。これらの「見えない鎖」が、被害者を逃げられない状態に閉じ込める。
そして、見えないのは鎖だけではない。加害の構造そのものが、社会の日常に溶け込んでいる。
安い労働力で作られた製品を買う我々消費者。身元確認をしない雇用主。見て見ぬふりをする地域社会。人身売買は「悪人」が引き起こすだけの犯罪ではない。社会全体の無関心が、その温床になっている。
見えないものを見えるようにすること。それがFinLiの出発点だ。
Part2に続く
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