子供の才能を伸ばすには── 正しい育て方は存在しない。親が用意できるのは「場」だけだ
「正しい育て方」に騙されるな
子供の才能をどう伸ばすか。多くの親が、正しい方法を探している。だが、経営者や成功者を数多く見てきたが、そこに共通点はあるようでない。
親に厳しく押さえつけられた人もいれば、完全に自由に育った人もいる。自由に育ったがゆえに、何をしていいかわからず小さくまとまった人もいる。「あなたは天才だ、何でも好きにしなさい」と言われ続けて、逆に自己嫌悪に陥った人もいる。「お前はダメだ」と言われすぎて、潰れた人もいるが反骨精神で成功した人もいる。
優秀な環境に恵まれて伸びた人。人付き合いが好きで人脈から伸びた人。人が嫌いで、人と会わずに済む人生のために成功した人。成功のパターンは、人の数だけある。つまりは単なる関数の話で、同じ式で全員が解けることはない。
子供に残るのは、言葉ではなく「場」だ
では、親は何もしなくていいのか。そうではない。何を習慣にさせてあげられるか。ある意味それが何かを残すこととも言える。
自分の場合の一つは、瞑想。家が仏教の家系だったため、毎日朝晩、勤行や座禅や瞑想の類などと、自分と向き合う時間が多かった。もう一つは、本。親は家でずっと本を読み、勉強していた。その姿を見て、自分も図書館で上限いっぱいまで本を借り、読んでは返し、また借りる子供になった。そしてもう一つは、家に流れていたクラシックとジャズ。確実に今の自分の音楽のセンスの基盤が作られたと思っている。
才能は環境で発動する。だとすれば、子供にとって最初の環境は家だ。何を言い聞かせたかではなく、どんな外部環境を用意してあげたか。何を当たり前にしたか。
子供の才能は、親の「選択肢の数」でも決まる
たとえば、子供がいじめで学校に行けなくなったとする。頑張って行かせるのも一つ。家にいさせるのも一つ。だが例えば、「ちょっと引っ越してみようか」という選択肢を取れるかどうかは、親の財力や行動力、つまり親のキャパシティで決まる。
都会から田舎へ。寒い地域から暖かい地域へ。あるいは海外へ。その選択肢の幅が、ときに子供の生きる・生きないすら変える。それは親のせいでもあり、親にできることでもある。
── 「できない子」というレッテルは、人格ごと否定する
無理をして進学校に行ったことで、三年間劣等生として生きるのか、二番手の学校で秀才として生きるのか。もちろん進学校でしか出会えない優秀な人材や、将来の人脈の基盤、そこから先の進学の選択肢も変わってくるので、単純な問題ではないが、自己肯定感のようなものが与える影響は人生においてかなり大きい。
信じ切る心は、場が守る
子供の才能を伸ばす魔法の育て方はない。厳しくても、自由でも、伸びる子は伸び、閉じる子は閉じる。
だからこそ問うべきは、「どう育てるか」ではなく「子供の才能が発動する適正な場を、親としていくつ用意できるか」──そして、そのために親自身が、どれだけ自分の選択肢を広げていけるかだ。子どもが挑戦し、失敗できる環境をどこまで作ってあげられるか。そのキャパシティを広げることがまずは親にできる重要なことなのだろう。
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よくある質問
成功のパターンは人の数だけあり、全員に当てはまる正解はありません。
言葉で言い聞かせるより、習慣や家の空気といった「場」を用意することです。才能は環境で発動します。
一つの能力の評価が、人格ごと否定するレッテルになってしまうからです。信じ切る姿勢を場が守ることが大切です。


