no. 095
Ⅷ. 社会構造・理念圏 哲学・思想 社会構造・理念圏

最大公益 ( さいだい-こうえき)

Maximum Public Benefit / Greatest Common Good

個人の主観的快・不快の総和ではなく、構造として世界に残る便益の総量を最大化しようとする理念。
ベンサム以来の功利主義が掲げてきた「最大多数の最大幸福」に対する、次元的な組み替えを行うカウンター概念である。
幸福は定義上、主観に閉じ、可逆的で、現在世代に限定され、比較不可能である——ゆえに倫理の目的地としては私的すぎ、短命すぎ、測定不能である。
一方、公益は制度・環境・知・関係性として外在化し、世代をまたいで継承され、受益者が特定の個人に閉じず、事実として検証可能である。
「いま誰かを幸せにすること」ではなく「この先、誰かが幸せになりうる構造を一つでも多く世界に残すこと」と言い換えられる。
会えない相手・不特定多数の受益者・まだ生まれていない他者までを倫理の射程に含めるための拡張である。